イタリア料理店アルポルトのオーナーシェフ片岡護(かたおかまもる)氏にインタビュー

イタリア料理店アルポルトのオーナーシェフ片岡護(かたおかまもる)氏に
東京からはるばる喜界島にお越しいただきました。


イタリア料理ブームの先駆けとして、巨匠と言われる片岡護シェフ。
巨匠でありながら、親しみやすい人柄がとっても素敵です。

お店では最高級のイタリア料理を提供し続け、
テレビや雑誌などでは、家庭でも作れるイタリア料理を紹介しています。
最近では、お孫さんの離乳食をまとめた書籍も出版されています。

     

片岡護シェフと喜界島のみなさまとの交流会
喜界島薬草農園のグラウンドにて、
片岡護シェフの喜界島特産物を使った料理をいただきながら、
島のみなさまとの交流会を行いました。

片岡シェフから料理の基礎、素材の扱い方などの指導をして頂き、
ボランティアに来て下さった島の皆様にお手伝いいただき作ったお料理です。

片岡シェフの手際のよさや先を見越した作業手順、
プロの華麗なテクニックなど間近でみられる貴重な時間でした。
ユーモアを交えて時にきびしくご指導もいただきました。
入念な準備が美味しいお料理に繋がることを実感しました。



メニューは、前菜に白身魚のカルパッチョ、菜園風スパゲッティ、
豚ロース肉の低温ロースト じゃがいものピューレ添え、
パンナコッタ パッションフルーツソース など
地元の漁師さんが穫って来てくれた魚や、農園のフルーツなど
島の食材をふんだんに使って数々のイタリア料理を作って頂きました。

そんな美味しい料理を囲んで、片岡護シェフに料理をはじめたきっかけや、
料理への情熱をうがいました。


 

島の太陽と潮風:喜界島に来てみていかがですか?

片岡シェフ:昨日は喜界島の郷土料理を食べましたが、とても美味しかったです。
(昨日は島料理の店「天晴」にて夕食をいただきました。)
そして何より、島の人の人柄がいいなと思いました。
シェフとの喜界島巡りの様子はこちらから>>
 

▲「和食厨房 天晴(あっぱれ)」では喜界島の郷土料理をいただきました。
夜光貝のお刺身や長命草の天ぷら。どれも丁寧に調理されていて絶品です!

 

島の太陽と潮風:片岡シェフが料理人になったきっかけはなんですか?

片岡シェフ:高校卒業後、デザイナーを目指して美大受験に挑戦していました。
その頃、母親の知人である外交官からミラノ総領事館のコックへの誘いがありました。
受験に3回挑戦してダメだったら、コックになろうと思いました。実際は、外交官が私への励ましのつもりで言ってくれたものだと後で知ったのですが(笑)
「デザインと料理は、キャンパスの上に描くか、お皿の上に描くかの違いだけで、根本的な考え方は同じ」と思い、料理人への道を決心しました。
 
出発までは、日本料理店「つきぢ田村」に修行に入り、料理の基本を学びました。その後、当時は直行便がないので、南回りで2か所を中継してローマに入りました。ドルが365円の時代。今が108円ですので、約3倍ですね。そういう時代なので、外国に行くっていうのは凄く大変なことでした。
イタリアの総領事付きの料理人として、昼はイタリア料理を夜は日本料理を作る忙しい日々でしたが、時間をみつけて、現地の市場や多くのレストランに足を運びました。
 



島の太陽と潮風:料理をする時に、大事なことは何ですか?

片岡シェフ:そうですね、私には双子の孫がいるのですが、生後6か月の時に娘から離乳食をつくってもらいたいと頼まれたんです。そのことがきっかけで「孫の力」という雑誌での連載がはじまり、それが2年ぐらい続きました。
そういった事を通じて、「家族のため」「子供のため」につくる料理の大切さ、「健康」とか「成長」とか、そういうことを考えて作らなくてはいけない、と。
また、美味しいものを食べることが、脳の発育にも良いといわれています。
喜界島のように自然の環境が豊かで、そこで育っている子は、お父さん、お母さんが手間と愛情をかけた食事ができるのではないかと思います。
都会のように忙しくて、特に共働きだったりすると、なかなか料理に時間が取れず、簡単なごはん、1分で出来るごはんになることも。
「ひと手間」をかけ、「愛情」をかけた料理というのは、全ての基本になるんですね。
イタリアの料理は「マンマの料理」って言われています。家庭料理がとっても美味しいということですね。イタリアはそれぐらい、時間をかけて美味しいものを作る。料理には、愛情が大切だと思います。
 



島の太陽と潮風:片岡シェフのお店「アルポルト」の名前の由来を教えて下さい。

片岡シェフ:“港にて”という意味があります。港は、船が入港したり、出発したり、まるで人生のように感じます。そういった意味のレストランにしたいと、アルポルトをはじめました。
 



島の太陽と潮風:料理以外に趣味はありますか?

片岡シェフ:映画が好きです。学生の頃は学校を抜け出して観に行くぐらい、映画に没頭していました。料理というのは、人生の経験とかそういった事が全部、味に現れてくるんです。自分の店の若い人に「勉強するというのは、料理だけじゃなくて、人生の経験だよ」といつも伝えています。美術館に行っていい絵をみる。いい音楽を聴く。美味しいものを食べる。いい出会いを大切にする。美しいとか楽しいということをたくさん経験する。それが、自分の人生に全部跳ね返ってくる。そうして、料理の味となって表れてくるよ、と。
 


島の太陽と潮風:50年近く料理の道を歩んでこられました。その理由はなんですか?

片岡シェフ:イタリア料理の最初の出会いがカルボナーラでした。母の勤め先の外交官のお宅からいただいてきたもので、すっかり冷めていましたが、初めて食べた時の美味しさは今でも覚えています。
その後、イタリアに渡って、ミラノ大聖堂を見た時に、こんなに素晴らしい文化を持った人々と対等に勝負できないと思いました。日本人ならではの料理で対抗した方がいいなと思ったんです。
私はパスタが大好きです。組合せによって無限大の表現ができます。「日本人だからこそ作れるイタリアン」として、パスタから始まり、パスタで終わりたいと思って、続けてきました。最後までパスタを追求して行きたいと思っています。
 


島の太陽と潮風:本日はたくさんのお料理とお話をありがとうございました!




 

「アルポルト」オーナーシェフ。1948年東京生まれ。1968年、日本領事館の総領事付き料理人としてイタリア・ミラノに渡る。出発までの間は、「つきぢ田村」で日本料理を研修。イタリアでは、各地の名店に通い料理修行に励む。1973年に帰国後、代官山「小川軒」を経て、西麻布「マリーエ」の料理長を務める。1983年、西麻布に「リストランテアルポルト」を開店。日本での本格イタリア料理の先駆けとして注目され、「一皿のアート」と絶賛される。その味はもちろん、やさしく気さくな人柄でも、多くのファンに支持を得ている。各地でレストランのプロデュース、テレビ、雑誌、料理教室、講演、各種イベントなど多方面で活躍し、著書も多数出版している。2001年F・I・Cよりイタリア料理人として認定される。2007年社団法人全国司厨士協会より西洋料理の銀賞授与。2014年イタリア商工会議所より功績に対し賞授与。2015年「現代の名工」に選ばれる。2018年「ま・ごはん」木楽舎出版がグルマン世界料理本イタリア部門2018グランプリ受賞。一般社団法人シェフード会長に就任

 

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